「東の東大、西の宝塚」で知られる宝塚音楽学校は、指導や規則の厳しさでも有名です。
朝の掃除、廊下は直角に曲がるなど様々な規則がありますが、今年からそのルールが変わるようです。
宝塚音楽学校の予科生の規則についてまとめました。


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「伝統の指導廃止」の記事が朝日朝刊に


2020年9月12日の朝日新聞の朝刊1面に「宝塚音楽学校 伝統の指導廃止」という記事が出ました。

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記事によれば、数年前に体を壊した予科生(宝塚音楽学校の下級生)がいたことから学校側が調査をし、本科生(宝塚音楽学校の上級生)の指導を見直すことになったようです。

記事で書かれていた予科生の伝統や不文律は下記のようなことです。

《あいさつ》
・遠くのほうにいる本科生らに大声で挨拶
・阪急電車が通るとお辞儀

《予科顔(表情)》
・みけんにしわを寄せて口角を下げる(泣きそうな悲しそうな顔)

《予科語(言葉遣い)》
・本科生への返事は「はい」「いいえ」などに限定

《謝り方》
・ルール違反した予科生が謝る際に、ほかの予科生も違反を自主申告する「連続謝り」

《校内掃除》
・予科生1名ごとに掃除場所の分担が決められ、前年度担当していた本科生(分担さん)1名による1:1での教育
(掃除方法から生活指導まで)
・本科生へ質問を書いたノートを提出

《歩き》
・放課後夜9時ごろまで廊下を往復し、指導係の本科生が廊下に現れたらその日の反省を伝える


厳しい~💦


まだまだある予科生のルール


朝日新聞に出たもの以外にも、予科生にはさまざまなルールが定められています。
私が見聞きしたことがあるものをいくつかご紹介します。


・廊下は直角に曲がる、壁側を素早く歩く

・阪急電車では最後尾に乗る

・阪急電車で座らない

・予科生は黒・グレーなどの地味な服を着る(予科服)
宝塚以外の地元でも服装の決まりは厳守

・紙袋を持ち歩くときは阪急の紙袋を使う

・「花のみち」の上は歩かない
歩けるのは元堤防だった盛り上がった部分ではなく、両脇の下がった部分のみ

・寮内では音を立てない
目覚まし時計の音や、電子レンジの音を鳴らさない

・新幹線、飛行機で寝てはいけない
新幹線や飛行機内ではブランケットを使わない、雑誌や本も読んではいけない

・昼食は校内の予科ルームで静かにとる

・寮の風呂には本科生より先に入るが、髪の毛一本残してはいけない


指導方法としては、「爆弾ノック」と呼ばれるものもあったそうです。
真夜中、寮の予科生の部屋を本科生が訪れ、厳しい説教をするものだとか……。

予科生は本科生に怒られないよう日々精神を張り詰め、睡眠不足の中、何度も同期で反省会を行います。
指導する人にもよるのでしょうが、本科生の指導はとても厳しく、予科生が泣くまで許されないこともあったようです。

予科ルールはいつできたのか

宝塚音楽学校生の伝統的な不文律のルールは、実は宝塚音楽学校が定めたものではありません。
生徒たちで考え、自主的に守られ、指導してきたものです。
そのため、時代によってルールはちがいますし、発生時期もはっきりしません。

たとえば《予科顔》《予科語》などのルールは、たかね吹々己さん(元雪組トップスター・69期生、旧芸名は高嶺ふぶき)のころはなかったそうです。

掃除方法や学校生活に関する質問を記したノートの提出も、5年ほど前からの慣習だということです。

あまりに厳しいルールに、本科生になってからルールを緩くしようとすることもありました。
有名なのは天海祐希さん(元月組トップスター・73期生)たちです。
当時、予科生の男役はヘアピンで髪を徹底的に抑え固める「予科ピン」という規則がありました。
天海さんの本科時代に「予科ピン」は廃止され、男役はスプレーで固めるだけでよくなりました。

規則が緩くなって指導が行き届かなくなると、また規則が増えるなどして、時代や学年(期)によって規則の厳しさは違うようです。



宝塚歌劇団や音楽学校の生徒を、父親や演出家などの立場から描いた小説です
この小説でも宝塚音楽学校生の生活が垣間見えるよ


予科生の規則はなんのため?

予科生を厳しく指導する理由の一つは、宝塚歌劇団の舞台人としての修練です。

大人数がまとまって一つの舞台をつくる宝塚歌劇団では、先輩への礼儀が必須となるため、言葉遣いなどを厳しく指導されます。

また、多くの人間が行き来する舞台袖などで人にぶつからないよう、廊下の端を歩くことで訓練します。

箸が転がってもおかしい年ごろの女の子が、舞台での突発的なことで笑ってしまったりしないように、予科時代は笑顔を封印します。

予科生が黒・グレーなどの地味な予科服を着て過ごすのも、華やかな舞台をきちんとつとめるためには普段の生活は節制が大切という考えに基づきます。


舞台第一! プロとしての訓練なんやね



阪急電車へのお辞儀は、宝塚歌劇団の母体である阪急電鉄のお客様への感謝とも言われます。
しかし、一方で、乗っているかもしれない上級生に目をつけられないように……という保身的な部分も大きいでしょう。

元は武庫川の堤防だった「花のみち」を歩かないのは、回りの歩道より高くなっているところからお客様を見降ろさないためです。

寮内で目覚まし時計などの音を立てないようにするのは、うるさくして上級生に迷惑をかけないためです。予科生は目覚まし時計の音が鳴る寸前に目を覚まします。

このように、華やかな宝塚歌劇の舞台をつとめるために、また円滑に集団生活を送るために予科生の規則は作られました。

宝塚音楽学校を卒業すると、研究科1年目の生徒がお稽古場の掃除や、小道具の準備などの雑用をします。
その際に不手際があると、研1生の本科生であった研2生の指導不足として、上級生から研2生が怒られます。
予科生の指導は、劇団での生活にもつながっていくため、指導の手をなかなかゆるめられないのです。

しかし、厳しすぎる内容はときに「本科生から怒られないために守る」ということになってしまいかねません。

廃止された伝統の指導

厳しすぎる規則がハラスメントに当たる可能性もあるためか、少しずつ予科生への指導が廃止・変更されています。

  • 遠方の本科生へは黙礼
  • 阪急電車へのあいさつは廃止
  • 《予科顔》の廃止
  • 《予科語》の廃止
  • 「連続謝り」の廃止
  • 校内掃除はグループで担当
  • ノートの提出は廃止

宝塚歌劇の「清く正しく美しく」は、もともと「朗らかに、清く正しく美しく」でした。
過度の指導がなくなることによって、予科生に朗らかさが出るといいですね。




2020年の「TAKARAZUKA REVUE」には、宝塚音楽学校の生活が6ページにわたって紹介されているよ♪
紹介しているのは、星組・天飛華音さん、雪組・彩海せらさんたち7人



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